SSブログ

河野外相は、祖父の時代と勘違いしていないか?

驚くようなニュースが飛び込んで来た。

 https://www.sankei.com/politics/news/190701/plt1907010023-n1.html
 >河野太郎外相は1日、東京都内で講演し、日露平和条約締結の前提となる
 北方領土問題に関し、ロシア側に四島返還を求めるつもりはないとの考えを
 示した。政府が交渉方針を「四島返還」から「二島返還」に変えたとする出
 席者から四島返還に立ち戻る考えはないかを問われ、「まったく考えていな
 い」と述べた。河野氏は「70年も解決できなかった問題を半年で解決でき
 たら、きっとノ ーベル平和賞をもらえる。(解決は)そう簡単ではないが、
 しっかりやる」とも語った。

こういう愚か者は、「70年も解決できなかった」原因を理解していない。(「トランプ大統領にノーベル平和賞を」というのは「このことだったのか?」などとも勘ぐってしまう。)「70年も解決できなかった原因」は、政府が弱気な交渉を繰り返した結果であることは明白だ。

交渉相手がソ連であった時代においては、政府のそういう方針も仕方のない面があった。

 (1) 「人質」が取られていたこと(以下参照)
   https://qvahgle-gquagle.blog.so-net.ne.jp/2019-03-05-04
 (2) ソ連が国際社会から孤立して「鎖国体制」を敷いていたために、
   日本やその他の国々が何か言っても無駄であったこと
 (3) 当時の国際社会における対日感情は、第2次世界大戦を引き起こ
   した日本に対して非常に悪かったこと

特に(1)の問題があったため、日ソ共同宣言は徹底的にソ連に譲った形になっていた。しかし、今現在は(1)の問題も解決して「人質」を取られた状態ではなくなっている。また、(2)についても、ロシアは資本主義化して外国との貿易により自国経済を保っている状態であるから、ロシア国外の影響を無視できなくなっている。(3)については言わずもがなであり、ソ連時代の人権を無視した各種強硬政策とソ連国外に対する武力を背景とした干渉行為などを経験した国際社会は、今では日本の側に圧倒的に有利に傾いている。(河野外相の祖父河野一郎も農相として日ソ共同宣言の交渉に参加していたが、その時の「感覚」がまだ現在でも通用すると勘違いしているのではないだろうか?)

そういうように「状況が変わった」にも関わらず、漫然とソ連時代と同じ方針で外交を行ってきたのが日本の外務省だ。

エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国も、ウクライナも、カザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタンなどの中央アジア諸国も、みな、ソ連崩壊とともにソ連から独立した。独立できたのは、自分たちの民族がその土地に住んでいたという要因もあるが、それ以上にしっかりと「独立したい」と物を言ったからだ。ソ連側が軍隊を派遣したために軍事衝突をしかけたが、それでも独立を主張して引かなかったために独立を勝ち取ることができた。

その時、日本はどうしたかと言えば「ソ連が崩壊したあとのロシアに無視されないこと」だけを重視して物を言わなかったために、せっかくの好機を逃して、ソ連時代に堂々とソ連国内で通用していた「嘘」をロシア時代になっても定着させてしまった。せっかくドイツのコール首相が国際的に働きかけてくれた「北方領土の日本への返還運動」に冷や水をかけた形にもなった。そして、当時から「無意味だ」という痛切な反論があったにも関わらず、ロシアへの経済協力を各種行い、ロシアの経済を著しく改善させることに協力した。

ソ連が崩壊した後のロシアは混迷を極め、インフレ率は25倍を超えたりした。資本主義経済の運営方法について理解していた者たちが皆無の状態であったために、共産党政権が行っていた統制経済体制から資本主義経済体制への転換がうまくいかず、運輸や金融などの面における混乱が混乱を呼び、ロシアという国は破綻しかけていた。そういう背景に加えて、進歩的なエリツィンが大統領となっていたために、北方領土問題についてはかなり日本側に譲歩して「2島ではなく4島の問題が存在すること」「北方領土問題を話し合うこと」をロシア側として初めて正式に認めた。ロシア側としては、人口の2分の1を失い、国土の4分の1を失った状態でさらに経済は国家破綻するほど混迷に混迷を極めていたのであるから、日本に譲歩せざるを得ない状態だった。そういう時に日本が何をしたのかと言えれば、国内には「ロシア政府というのは、歴史的に見て絶対に恩をあだで返す習性があるから協力は控えるべきだ」という根強い意見が存在したにもかかわらず、ロシアの経済発展に手を貸してロシアを助けることだった。

せっかく、ソ連時代の「鎖国政策」が打ち破られ国際社会の声がロシア国民たちにも届くようになり、また、ロシアが混迷していて日本に譲歩を示していた時代に、

  はっきりと物を言わず、米独などの協力を(結果として)断り、さらに
  あろうことか自分の首を絞めることになる経済協力を徹底的に行った

のだ。その時の方針が間違っていたからこそ、何カ国も他国が大きな領土を得てソ連・ロシアから「独立」さえしているのに、ロシアにとって意味のない極東のはずれの小さな4島の返還さえ威張られて拒否されるようになったのだ!しかも、ロシアへの経済協力をしたために経済的な力をつけた極東地域は「絶対に北方領土はロシアの物だ」と主張するようにも変わっている。ロシアが混迷を極めた頃は、極東地域の住民たちの間にも「北方領土を売れ」とか「自分も日本国民になりたい」などと言う声を聞くことができた。日本政府は経済援助を行いロシア極東の市民たちの民意が日本になびくように仕向けたかったようであるが、物をはっきりと言わなかったために「北方領土は日本が因縁をつけているだけの物。北方領土はロシアによって正当に領有されている」というソ連時代の大嘘を受け継いだロシアの大嘘がまかり通っている状態だ。

北方領土問題というのは、「70年も解決できなかった問題」ではなく、「ここ2,30年」の大失敗の問題である。他の国々が軍事衝突さえも辞さない姿勢ではっきりとソ連に対して物を言いソ連から独立して行っていた脇で、せっかくの好機を逃して「意味もなく」善隣友好外交を唱え、「意味もなく」発言を控え、「意味もなく」経済協力をした結果が現在の「惨状」に結びついている。

ロシアは、人口的には1億4千万人しか存在しない日本とほとんど変わらない国だ。国民の経済レベルは日本よりはるかに劣る。つまり、大した市場を持っていない。そして、ロシアの民生品の技術は旧西側諸国の技術からはるかに遅れている。輸出できているのは石油やガスだけだ。しかも、その石油やガスは、政敵を平気で殺す独裁国家ロシアが自分本位に勝手に管理できるため、それらに依存すると何時それらの供給を止められるかわからないことになるのであり、ドイツのようにロシアに対して何も物を言えなくなる(以下参照)。

 https://qvahgle-gquagle.blog.so-net.ne.jp/2019-05-19

ロシアが頼りとしている石油やガスも、自然エネルギーの発達や核融合の成功により、近い将来、役に立たなくなることは明白だ。そのときロシアには目も当てられない惨状が広がるのであり、国家として2流3流の発展途上国に転落して行くことが必定の状態だ(以下参照)。

 https://qvahgle-gquagle.blog.so-net.ne.jp/2019-03-27

つまり、北方領土問題というのは、決して、今「安売り」をするべきものではない。

社会主義国のソ連の時代であったならば、左の人々がソ連に肩入れしたい気持ちを持つこともある程度は理解できる。しかし、今のロシアはアメリア以上に貧富の差が大きな資本主義国の中でも腐りきったタイプの資本主義国であり、その体制も民主的ではなく独裁国家に分類される。そのような国に対して、そもそも、「何もはっきりと物を言わずに」仲良く付き合って行こうとしたここ2,30年の方針自体が、大間違いだったと結論できるはずだ。これを否定するのであれば、無理な作戦のために戦う前から何万人もの餓死者を出したインパール作戦を行っておきながら「各員の努力が足りなかった」と平然と言ってのけた牟田口中将と同じ程度の思考レベルにあることになるだろう。一部の人たちにとっては「結果」を認めたくないのであろうが、日本の正しい選択のためには、これまでの「結果」を素直に認めて反省すべきだ。

そもそも、ロシアと言う横暴な国に対して「仲良く付き合う」必要などないはずだ。というか、「仲良く付き合う」ことなどできない体制の国であるからこそ、世界中から制裁を受けていて、蛇蝎の如くに嫌う国々が存在するのだ。

 なぜ、日本に敵対し日本の権利を奪っている国と「仲良くする」必要が
 あるのだろうか?

近い将来自滅していく国であるのだから、制裁する覚悟を持てないのであれば、少なくとも現状のまま手を出さずに放っておけばよい(ただし、事あるごとに日本の権利はしっかりと主張しながら)。なぜ、「隣に存在するから」という理由だけで譲歩に次ぐ譲歩を今の時期に行わなければならないのだろうか。今の政権には、いい加減にまともな判断をしてほしいと思う。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。