SSブログ

ロシアへの対抗手段

ロシア駐日大使のガルージンが、また自分勝手な主張をしている。

 http://news.livedoor.com/article/detail/16225949/
 >ガルージン駐日ロシア大使は27日、東京都内で講演し、
 2020年度から使用される日本の小学校教科書で北方領土が
 「固有の領土」と明記されたことを批判した。北方四島は
 正式なロシア領だと主張した上で「正しくないシグナルを
 発信するもので、受け入れられない」と述べた。

これは、明らかな内政干渉だ。

もしも日本の大使がモスクワで「ロシアの北方領土占領には正当性がない」と主張したのならばどれほどの抗議が来ることだろうか。このブログで再三再四説明してきたように、ロシアの北方領土占有には正当性がまったく存在しない。ロシアは北方領土を不法に占拠し続けている状態だが、そういう不法行為を行っている方が「日本の教科書はおかしい」と盗人猛々しい主張を行っていることになる。まともな政府ならば、こういうならず者のような発言にはきちんと正論を言い、向うの非を非難するはずだが、残念ながら現在の政府はそれを行っていない。「日本側が何かを言うとまた貝に閉じこもってしまうから」と考えている者たちがいるからのようだ。だが、以下でも指摘したことだが、現在のロシアはソ連時代のように貝に閉じこもることはできない。

 https://qvahgle-gquagle.blog.so-net.ne.jp/2019-03-27

貝に閉じこもっていられなくするためには、いくつかの手段がある。まず、普通に考えられることは「ロシア極東との取引を完全に0にする」ことだ。日本は、米国を中心とした旧西側諸国と中国と東南アジアやアラブ諸国などを相手に貿易をしているのだから、ロシアとの関係など0になっても全く困らない。むしろ、ドイツのようにロシアとの関係を深め引くに引けない状態に持ち込まれないことの方が重要だ。ロシアの極東経済は非常に小さいから、日本が突然、極東経済から完全に抜けると、途端にロシア極東には不況の嵐が吹くことになる。日本と貿易をしてもらって維持できている地域が、他人の痛みを理解せずに歴史を無視した言いたい放題の暴言を吐けばどうなるかを見せつけるべきだ。

そうしておいて、ロシアの本拠地であるヨーロッパロシアの方が困る手段を講じるのも一興だろう。現在のロシアは資本主義的な取引の環境にいるから、中国のように為替や株式を完全に独裁的に抑え込むことができない。今では中国でさえあからさまに為替や株式を操作できなくなっているが、ロシアはこの度合いがもっと強いから、為替操作や株式操作を行うことが十分に可能だ。為替相場や株式相場は、大きな資金を持つプレーヤーが本気で売買すると、大きく変動させることができる。例えば、ジョージ・ソロスのヘッジファンドはほぼ単独でイングランド銀行を相手にポンド売りを仕掛け最終的に成功させている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E5%8D%B1%E6%A9%9F

おなじソロスのヘッジファンドが、その数年後にアジア通貨の売りを仕掛けたために、アジア通貨危機が起こっている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%8D%B1%E6%A9%9F

株式市場でも、数社のヘッジファンドが売りを仕掛けたために、昨年暮れに規模がロシアの10倍くらい大きい米国市場をさえも動かし、株価が何十%も暴落している(これは、米中経済戦争により中国が資金の引き上げを行った嫌がらせの結果でもあるのだろうが)。いずれにしても、ごく少数のプレーヤーが仕掛けるだけで、為替相場や株式相場は非常に大きく変動する。上のアジア通貨危機においては、通貨の下落が連鎖したために日本を含む多くのアジア諸国が辛酸を舐めさせられた。インドネシアに至っては、ルピアの価値が数分の一に下落するほどその影響が強く表れ、せっかく下落に対応した頃に今度は2倍に上昇するなどしてその影響が長引いたために同国の経済が壊滅的な状態になった。その結果、スハルト政権が倒れる一因となったと言われている。

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2014/2014honbun/i2210000.html
第Ⅱ-2-1-10図を参照のこと

為替レートが何十%も落ち込んだり、逆に跳ね上がったりを繰り返すと、その国の経済は破綻する。そのため、アジア通貨危機の頃から世界各国が協力して一部プレーヤーによる無謀な投機的売買を抑え込むための試みが行われている。しかし、為替や株というのは、単独や数人によるほんの一握りのプレーヤーが仕掛けるだけで大きく変動するものであるから、その後も何度かそういう博打的な投機的売買が試みられ、日本も標的にされたりしている。日本の場合は資金力があったために、例えば、以下のようにして切り抜けたりした。

https://www.youtube.com/watch?v=mR4tQxrlL8U
https://www.youtube.com/watch?v=XUpJrJj9bQs

日本の場合は資金力がダントツであったから上のような対応もできたが、資金力がない国がこれを行うと対抗してつぎ込んだ資金を全部含んだ上で売買戦争に負け、つぎ込んだ資金ごと仕掛けたプレーヤーの利益になってしまう。だから、経済的に規模の小さい国は、上の日本のような対応はできない。日本の場合も、余りに大量の資金をつぎ込んで為替介入を行ったために欧州諸国からは非難され、その後、そういう介入のやり方はとらなくなっている。今では、世界各国が協力し、投機的な売買を見つけると先進国の中央銀行が連携してそれと反対の売買を行い、標的にされた国の経済を助けることが行われている。また、IMFも資金の貸し出しを行い、投機的売買の標的にされた国を救済するようにしている。こういう投機的な通貨売買をロシアに仕掛けることは十分に可能だ。

口実はなんでもよいが、例えば米国にならって「ロシア国債の購入規制」などを行い、その途端に日本の証券業界などにルーブル売りを仕掛けさせれば、一挙にルーブルは下落する。そして、一旦、通貨が激しく動くと通貨の実質的価値は無関係となり、通貨は「博打の手札」としてしか働かなくなる。つまり、チューリップ効果(以下参照)が通貨を「チップ」にして起こることになる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB

通貨を一旦どんどんと下落させると「売ればもうかる」と思う者たちが次々に参入して売りに乗るため、最初に仕掛けた者たちは大きな利益を出すことができるのが為替や株の常道だ。上場廃止前の整理ポストにある株に急騰し出す物があるのと同じ原理だ(整理ポストの場合は「買い」だが原理は同じだ)。整理ポストでは、一か月で株券がただの紙片に化すと分かっていても売買ゲームが起こる。ましてや、期限が切られていない通貨だから、一旦流れができるとその流れを止めるのは非常に難しい。そうやって投機的売買を仕掛けた者が大利を得る代わりに標的にされた国の経済が滅茶苦茶になるからこそ、アジア通貨危機などの時に各国が困ったのであり、今では経済規模の大きな日本でさえも世界各国に協力してもらって協調介入を行うようになっている。

さて、そういう流れの中でロシアは侵略行為をウクライナに対して行ったために世界から経済制裁を受けている状態であり、ロシア経済はただ一人で存在していて誰からも助けてもらえない状態にある。つまり、通貨や株を好きに売り買いされても、誰も助けてくれないのである。しかも、経済制裁により「ルーブルとドルを交換させない」という政治的な要因が存在するにも関わらずにルーブルをドルに換えたいという需要があるために、ルーブルは対ドルでどんどん値を下げる傾向にある。(以下参照)

https://jp.reuters.com/article/halliwell-danske-idJPKCN1NR0LH
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN6LZESYF01U01

もしも日本が本気になったならば、強いルーブル安を招来してロシア経済を混乱させることは十分に可能だ。このやり方は、ルーブル高を招くこともできる。もしもルーブル安になると、今でも経済制裁のために苦しんでいるロシア民間企業はドル建ての貸付の返済に首が回らなくなり倒産する企業が続出するはずだ。また、輸入食品の高騰につながり、これまでのようにロシアのインフレ率を押し上げて市民生活を圧迫することにもなる。その結果、生活が苦しくなった庶民たちのプーチン政権への不満が倍増していくことになる。そうしておいて逆に一挙にルーブル高にしても、これもまた、ロシアは困ることになる。ロシアの歳入の約半分はドル建ての石油・ガス売買に依存しているため、ドルが一挙に安くなると(ルーブルが一挙に高くなると)ロシアの歳入が激減するからだ。また、経済制裁により外国からの食料品が輸入できなくなったために農家に2~3千万円を貸し付けて自国の農業を急激に育てようとしていたりして、半分成功しかけて輸出産業になりかけたりしているが、それらが壊滅的に潰れて行くことだろう。日本は、ロシアの一番困る時期を見計らってルーブル安とルーブル高を仕掛けることができるのだ。為替市場の他に株式市場でも同じことが可能なのであり、ロシア経済を極度に混乱させることなど朝飯前だ。

普通ならば、こういう「破壊的行為」を相手の経済市場で行うと世界各国から非難轟轟となるが、日本が北方領土について正しく自国の立場を広く説明した上でウクライナのことも慮って行うのであれば、他の国々も日本を非難しないはずだ。もちろん、日本政府が表立ってある意味非道な破壊的行為を行うとまずいから、あくまで「民間企業が勝手にやっていることだから」というエクスキューズを用意しておくことは重要だ(かつての米国がインドネシアに行ったように)。

こういうことをやるだけでかなりロシア経済は困るはずだ。しかし、その他にも嫌がらせの手段を日本は各種持っている。例えば、東欧諸国に対してガス田・油田の開発を「経済援助」の名目で大々的に行うなどということも可能だろう。東欧にはルーマニアやエストニアのように、中小規模の油田やガス田が点在している国がある。これらの国のいくつかは戦争直後のソ連によって重宝されたが、シベリアに大規模なガス田・油田が見つかってからは放っておかれた。そのため、せっかくガスや石油があるにも関わらず、ロシアから輸入していたりする。かつては産油国として知られたルーマニアなども、今でこそやっと100%自国の石油消費を賄えるようになったが、それまではロシアの石油を買わされたりしていた。これらの地域に損を覚悟で経済援助を行うと、東欧で石油をロシアから買い入れている国々の消費分くらいを東欧の内部で賄える可能性が高い。その結果、その分のロシアの石油やガスの輸出量は減ることになる。また、現在ローザンヌ条約により束縛されているトルコの資源開発も、2023年頃には束縛から解放されて行えるようになる。それに合わせて、その前からトルコにおいて石油・ガス探索とその生産準備に手を貸すこともロシアの石油輸出を減らすことになる。現在のトルコは石油を外国(特にロシア)から買っている状態であり、そのため石油価格が変動はトルコ経済の変動に直結している。この安定化に寄与できれば、日土の友好にも寄与することだろう(トルコがオランダ病を嫌がっていなければの話だが)。これらの開発は東欧諸国やトルコとの親善と友好の発展のために貢献するのであり、経済援助をすることにロシアが文句を言える余地はないはずだ。

日本には、この他にも対ロ制裁の手段がいくつかあるが、そこまで行う前に「相手の国民に正しい情報を知らせる」という努力をすることがまずは一番重要だろう。
そのためには、日本政府がきちんと「正しい経緯」を説明すること、説明できることが重要だ。しかし、日本政府の責任者たちが何も理解していない無能ばかりであり、ロシア発信の嘘の情報の方をもとにして判断しているようでさえあるのだから、向うの国民に真実を知らせることなど夢のまた夢の状態だ。
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。